香水―ある人殺しの物語
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定価 : ¥ 770
販売元 : 文藝春秋
発売日 : 2003-06 |
舞台は18世紀のフランス。町は汚穢(おわい)にまみれ、至るところに悪臭が立ちこめていた。そこに、まったく体臭のない男がいた。男にないのは体臭だけでない。恐ろしく鋭い嗅覚と、においへの異様なまでの執着以外に、男には何もなかった。 物語は至高の香りを求めて、めくるめくにおいの饗宴が繰り広げられる。ドアノブのにおい、石のにおい、花の香り、動物のにおい、果ては目立たない人のにおいに至るまで、ありとあらゆるにおいが立ちこめる。登場人物も、究極のにおいの美少女以外は、主人公も含めて恐ろしくグロテスクである。まさしく魑魅魍魎(ちみもうりょう)。裏道、闇、疫病、屠殺、汚濁…にもかかわらず、なぜ本書からは恐ろしく魅惑的な香りが立ちのぼってくるのだろうか。 パリには複雑で洗練された味わいがベースにあるように、生ハムやチーズのすえたようなにおいが鼻を突いても、この町で、人を引きつけてやまない魅力がグロテスクなのかもしれない。ストーリーも舞台も登場人物も、実に巧妙に展開している。一度手にとるとテンポよく、一気に読んでしまう。読者は主人公とともに限りなく奥深い嗅覚の世界をさまよい、陶酔させられることだろう。 著者は1949年ドイツ生まれ。本書は87年世界幻想文学大賞受賞作品。ほかに『コントラバス』、『鳩』、『ゾマーさんのこと』などが翻訳出版されている。(小野ヒデコ)
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血なまぐさいファンタジー |
「香水」という優雅なタイトルからは、絶対に想像できない世界を持つお話し。 異常に発達した嗅覚を持つが故に孤独、そして殺人を殺人とも思わず犯してしまう主人公・・・血なまぐさいのに血を感じさせない独特の世界が、とても素敵なお話しです。
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本から匂いが立ち上がってきます |
18世紀のパリや香水の故郷グラースの描写から、実際の匂いが感じられるような池内紀さんの翻訳が秀逸! 何回でも読み返してうっとりしてしまうのです。一度この香りをめぐる官能の世界をお試しあれ。
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悪魔の調香師ジャン=バティスト・グルヌイユ |
18世紀フランスには、悪臭があふれていた。愛されることなく生まれてきた、”匂わない男”グルヌイユは様々な香りをかぎ分ける。行く先々で不吉な影を振りまきながら、求める香りを手に入れるため、蒸留器を使ったり、冷侵法で殺した女性から香りを写し取る作業はとっても職人的。テンポよく一気に読ませてくれます。
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ストーリーも面白くて |
調香師という仕事そして香水の製造過程が、現地のリアルな雰囲気と共に理解できる本だと思います。香水を全く知らなかった私もこの本を読んだ後、香水の世界に興味を持つようになり、しばらく楽しく勉強した後、知識や人脈が広がり大変得をしたと思います。勉強が進んだらもう一度読み返したい一冊です。
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匂いを嗅ぐということの描写 |
ふだんから匂いに敏感な人が読めば共感できることが多いでしょう。オーケストラの各パートの音を聞き分けるように混沌とした匂いの塊から一つひとつの匂いを嗅ぎ分ける能力、それをまた読者が現に体験しているような錯覚を起こさせる作者と訳者。おもしろい体験ができます。もちろん物語も面白いです。